【気になるこの症状】「亜急性甲状腺炎」、風邪と見分けるポイントは?

熱が出てのどが痛い−。この時期なら当然、風邪を疑う。近場の医者に診てもらい様子を見たが、のどの痛みが一向に治らない。そんなケースには甲状腺の病気が見逃されている可能性もある。見分けるポイントはのど仏の下の腫れと痛みだ。


■押すと激痛が特徴


甲状腺に炎症が起こる「亜急性甲状腺炎」の発症には、ウイルスの関与が疑われているが、原因は分かっていない。見逃されやすい理由を、総合医で武蔵国分寺公園クリニック(東京・西国分寺)院長の名郷直樹医師が説明する。


「大半の患者さんは風邪と思い込み、発熱とのどの痛みを訴えて来院します。でも実際に痛いのは、首の甲状腺の部分の腫れ。それほど発症頻度が高くないので、きちんと甲状腺を触診しないと見逃されてしまうのです」


甲状腺の場所はのど仏の下。その左右が腫れ、押すと痛みがあるのが特徴。採血検査、超音波検査をすれば、すぐ診断できるという。


■動悸(どうき)や手の震えも


最初に耳鼻咽喉科や歯科を受診して、診断がつかないケースも少なくない。人によっては甲状腺の痛みを耳の後ろや奥歯の痛みとして感じてしまうからだ。しばらくたつと、腫れと痛みが移動することもあるからややこしい。


他の症状では、「バセドー病と同じような甲状腺ホルモンの分泌過剰の症状が現れる」という。


「動悸や息切れ、汗を異常にかく、手の震え、全身倦怠(けんたい)感など。炎症によって甲状腺の組織が破壊され、たまっていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出して血中濃度が高まります」


ただし、血中濃度の高い状態が長期に続くことはなく、バセドー病などに進展する心配もない。


■内服薬ですぐ治る


「亜急性」とは、急性より少し長く続くという意味。甲状腺の病気といっても基本的に自然に治るもので、甲状腺組織もいずれ正常に戻る。再発はほとんどない。


治療は対症療法で、放置したままだと1〜2カ月ぐらい続く症状を取り除くことが目的になる。


「副腎皮質ホルモン剤の内服が非常によく効きます。半日ぐらいで症状が軽減してきて、翌日には症状が消えてくる。2日後には大体、元に戻っています」


普通、風邪症状ぐらいなら近場の内科を受診する。ただ、一般内科の診療科目を掲げていても、その開業医の得意分野が異なることがある。何気ない症状でも、最初の医者選びが肝心だ。


名郷医師は「ありふれた症状こそ初期診断の正確な鑑別が重要です。幅広い病気を診られる家庭医、総合医といったプライマリケア医をホームドクターにするのがいい」とアドバイスする。


■亜急性甲状腺炎の特徴と心得

★甲状腺部分の症状

のど仏の下の右左の一部、腫れている部分が痛い。指で押すと痛みが強くなる。耳や奥歯が痛く感じることもある。

★のどや首の周囲以外の症状

動悸、息切れ、汗の増加、手の震え、全身の倦怠感など。

★のどが痛い時の受診の心得

医師に亜急性甲状腺炎の可能性を伝え、きちんと調べてもらう


 

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