/ からだと向き合う:甲状腺の病気 悪性腫瘍に数タイプ=小林薫
◇9割が乳頭がん--症状なく触診でしこり
くびの下の方にある甲状腺というホルモンを分泌している器官に悪性腫瘍(しゅよう)が出現することがあります。今回から、この甲状腺がんについてお話ししていきます。
甲状腺がんには、数種類のタイプがあります=表上。乳頭がん、濾胞(ろほう)がん、髄様(ずいよう)がん、未分化がん、悪性リンパ腫などです。このうち、乳頭がんが90%以上を占めます。ここでは甲状腺がんの代表として、乳頭がんについて説明します=表下。
【発見のきっかけ】
多くの場合、他の病院の超音波検査で甲状腺のしこりを見つけられて紹介されてきます。乳がん検診のときに、ついでに甲状腺の超音波検査をして発見されることもあります。循環器科において頸動脈(けいどうみゃく)の超音波検査をしたときに甲状腺にしこりを見つけられることも多くなってきました。
しこりが大きくて、気管が圧迫されて曲がっているときは胸部X線やCT(コンピューター断層撮影装置)の検査で見つけられることもあります。
【診断の方法】
超音波検査と細胞診で診断がつきます。超音波検査でしこりの部位、形、大きさ、リンパ節転移などが診断されます。ほかに血清検査、頸部X線や胸部CTなども行います。
【症状と特徴】
症状はなにもありません。触診で甲状腺にしこりを触れます。まれにかすれ声が起こることもあります。特徴として、大変ゆっくり発育し、かなりの頻度で頸部のリンパ節に転移を起こします。手術した患者さんの70-80%にはリンパ節の転移があります。手術後の経過は大変良好です。