甲状腺がんの死亡率

日本の低危険度の甲状腺乳頭がんの10年後の生存率は99パーセントです。

甲状腺がんの診断後すぐに甲状腺を部分的に、または全摘手術をした患者さんの99%は
20年後でも生存しており、この治療を受けなかった場合でも97%の患者さんは生存している
という研究結果が出たようです。

甲状腺乳頭がんは、他の原因で死亡した人の検死の際に発見されることも少なくない一般的ながんであり、
甲状腺がんの場合には乳頭がん、ろ胞状がん、未分化がん、髄様がん、悪性リンパ腫の5種類があります。
種類により性質はまったく異なり、中でも、甲状腺乳頭がんは最も多く、日本では甲状腺がん全体の約9割を占めます。
が、多くは危険度の低いがんです。

日本でも1cm未満の微小乳頭がんに対しては、明らかな転移や浸潤がなく、がんの大きさが小さいままの場合には、手術をせず経過観察をすすめる医療機関もあります。

米国のダートマス医科大学のルイーズ・デイヴィース(Louise Davies MD MS)氏らの研究が、 Archives of Otolaryngology Head & Neck Surgery誌5月号によると、医師と患者はこのタイプの甲状腺がんでは安心して1年間かそれ以上の経過観察をするという選択をすべき、とデイービィス医師は語っています。

以下は医師の言葉です。

「医師と患者は、このタイプの甲状腺がんでは、安心して1年間かそれ以上の経過観察をするという選択をするべきです」と、デイヴィース氏は語っています。「治療することを選択した場合は、このタイプの甲状腺がんでは、甲状腺を部分的か、全て切除しますが、その予後(経過の見通し)は同じでしょう」。

「超音波検査と微細針吸引生検の普及によって、多くの以前は発見されなかった甲状腺がんが特定されるようになりました。過去30年間、甲状腺がんの検出数は3倍に増加しています。この増加は、主に2センチメートル未満の小さい甲状腺乳頭がんの発見に起因しています」



この研究では、米国立ガン研究所の記録からがん患者とその治療データを入手して、さらに国の人口動態統計システムを通して死因を追跡しました。

3万5,663人のリンパ節か他の領域に広まっていない甲状腺乳頭がん患者を特定しました。このうちの440人は診断後すぐに決定的治療を受けませんでした。平均6年間の追跡中に6人の患者がこのがんで死亡しました。

これは、治療を受けた3万5,223人の患者の、平均7.6年間の追跡における、このがんによる死亡率と有意差がありませんでした。

20年生存率は、治療を受けなかった患者で97パーセント、受けた患者で99パーセントであると見積もられました。

「これらのデータは、限局性の甲状腺乳頭がんの治療法の決定に役立つでしょう」と、この研究者は述べています。「腫瘍が甲状腺内にとどまっていて、リンパ節に転移していない、甲状腺外に広がっていない、すべての大きさの甲状腺乳頭がんは、このがんによって死亡しない傾向があります」。

甲状腺乳頭がんの治療には日米で差があります。日本では、小さい低危険度の甲状腺乳頭がんの場合は、がんのある部分だけを切除するなど甲状腺をできるだけ温存する方法をとります。米国ではがんの種類に関係なく多くの場合で甲状腺全摘術をします。


 

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