橋本病の甲状腺機能低下症であらわれる様々な症状②

甲状腺ホルモンは腸の蠕動運動を促すので、これが不足すると腸が活動しなくなり、便秘になります。
バセドウ病が下痢ぎみになるのと反対のあらわれ方です。
便秘もまた、肥満の原因の一つになります。

 

意欲の低下、もの忘れ、眠たがり

甲状腺ホルモンは、脳の細胞を働かせるためにも必要です。
そのホルモンが不足するわけですから、記憶力が低下し、ものを考える力が落ちてきます。
バセドウ病の機能亢進症では落ち着きがなくなって、物事に集中できなくなるのですが、機能低下症の場合は、集中力や思考力が減退していくのです。
軽い橋本病の人に甲状腺ホルモン剤を飲んでもらったところ、計算力や記憶力、周囲への状況認識などが、すぐに改善されたという報告もあります。

 

精神・神経活動も鈍くなりますので、物事に対する意欲や気力がなくなり、動作が緩慢になってきます。
何をするにもおっくうで、ものが片づけられなくなるなど、日常生活にも支障をきたすようになります。

 

朝すぐに起きられず、昼間も眠たがりで、電車の中でもどこでも、しょっちゅう居眠りするようになることもあります。

 

このような精神・神経症状が際立ってあらわれると、精神科の医師でも、まれにうつ病と間違えることがあります。
注意しなければならないのは、機能低下症の人に誤って精神安定剤を与えてしまうことです。
全身の代謝力が衰えるため、少量の薬でも効き過ぎて、ときに昏睡状態に陥ることがあるからです。

 

筋肉の筋がつる

甲状腺ホルモンの不足によって血液の循環が悪くなり、筋肉の低下が起こります。
運動をしたわけでもないのに、急に足のふくらはぎなどがつります(こむらがえり)。
筋肉がつるところは、ふくらはぎが多いのですが、腰のまわり、腕、首のまわりなどがつることもあります。

 

脈がゆっくり静かになる

機能低下症になると、全身の臓器の働きが衰えていきます。
そのため心臓の働きもゆっくり静かになり、脈をふれると数が少なく、1分間に60以下の脈拍になります(正確な場合は70~80程度)。
脈の打ち方も弱く、心電図の波形は小さく弱々しくなります。
これも、バセドウ病の頻脈とは反対のあらわれ方です。

 

心臓自体はむくんで大きくなり、胸部のX線写真で見ると、心臓の影が異常に大きいことがあります。
心臓を包む袋(心嚢)に水がたまったりするためです。

 

月経過多になり、流産しやすくなる

女性の中には、月経と月経の間隔が長くなったり、量が多くなる、だらだらと長く続く、などの月経異常が見られます。
甲状腺機能低下症になると、約30%の女性患者に月経過多が起こるといわれます。

 

また、治療しないでいると流産の原因となることがあります。
甲状腺ホルモンが不足していると、無排卵を起こすこともあります。

 

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